フランスのシャンパーニュ地方で作られた発泡酒だけが「シャンパン」と名乗れることをご存知でしょうか。今回は魅惑の発泡酒「シャンパン」の産地「シャンパーニュ地方」の町「ランス」を取材しました!

取材&文/安田照子

黄金色の輝きとシュワシュワ弾ける泡が我々を魅了し、乾杯するたびに優雅な気分にさせてしまう魔法の飲み物。フランス国内でさえも他産地で作られたものは「スパークリングワイン」と呼ばれるほど「シャンパン」はその独自の作り方と歴史があります。

シャンパーニュ地方の作り手たちは何百年にわたりその製法を忠実に守ってきました。それは彼らのプライドであり、誇りでもあります。ランスには名だたるシャンパンメーカーが点在していて予約をすれば誰でもメゾンで見学ができます。

ドンペリニョン、モエシャンドン、クリュグ、ポメリー、ムム… 見学の最後は試飲もできるので、シャンパンマニアにはたまらないですね。

シャンパン試飲中の男の子

大人に混じってシャンパン試飲中の男の子。グラスをくるくると回すしぐさも大人顔負け。 あっぱれ!

今回は、大手シャンパンメーカーである「ポメリー」を訪ねてみました。お城のような建物を入り、カーブ(貯蔵庫)を歩いて見学するツアーにエントリー。ライトアップされたカーブを見ながら作り方と歴史の説明を聞き、ツアーの終わりには(もちろん)お楽しみの試飲タイムが待っていますし、お目当のシャンパンは購入可能です。

ほど近い場所にあるのが、次ページの「ヴィラ・ドゥモアゼル」というアール・デコ様式の館。これは1906年に建てられた古い館をいたく気に入ったポメリーの社長ヴランケン氏が4年の歳月をかけ修復したもの。館を見学しているとアール・デコ、アール・ヌーヴォー時代にタイムスリップしたような気分になるほど。一見の価値あり!(1時間ほどの見学には申し込みが必要)

ポメリーの社長がアール・デコの贅を尽くして再現した館はまるで美術館!

「ランス」へのアクセス&国事情 パリの北東約150Kmに位置する「シャンパーニュ地方」の小さな村がランス。
日本からランスは、直行便はなし。パリ他、主要都市に入国して電車やバスなどを乗り継いでいく。例) パリからTGV(新幹線)で45分。有名なシャンパンメーカーを巡るツアーもあるので調べてみよう!

地図

ステンドグラスのドア

素晴らしいステンドグラスのドア

巨大な彫刻

ポメリーのメゾン内にある巨大な彫刻は建物二階建てくらいの高さが

調度品

ヴィラ ドゥモアゼルの調度品は全て創業時を再現

回り階段

回り階段のライトもアール・デコ

ガレのライト、もちろん本物

ガレのライト、もちろん本物

カウンターバー

独特な彫刻が施されたカウンターバー

ガラス工芸品

美しいガラス工芸品は美術館を見ているよう

アンティークの美術品

こんなアンティークの美術品が無造作にゴロゴロしている

独特な家具

アール・デコ、アールヌーボー様式の独特な家具

ボトル

マイケルジャクソン仕様のボトル!

シャンパンのボトル

シャンパンのボトルも芸術品のように美しい

ブランケンシャンパン

ブランケンシャンパンの購入も可能

ポメリーのおなじみブルーボトル

ポメリーのおなじみブルーボトル

1840年創業のシャンパン・ブランド 「Yves Louvet (イヴ・ルーヴェ)」
6代目・現オーナー、フレデリック・ルーヴェ氏にお話を伺いました。

彼のシャンパン工場を訪ねシャンパンづくりの工程について説明を受けました。「シャンパンを作る葡萄はとにかく天気に左右されます。収穫期は8月ですが、昨今の世界的な気候変動によって毎年時期が変わってきています。

特にシャンパンの味を決めるのは糖度なので、それは天候や温度によって左右されます。例えば雨ばかり降っていた2017年は良くなかったし、暑かった2018年はとても良い葡萄が採れました。

世界中の葡萄畑が同じというわけではなく例えば2017年のスペイン、ポルトガル、アメリカのナパなどは山火事が起こるほど暑く乾燥していたりと様々です。まさに「自然」を相手に仕事をしています。」

フレデリック・ルーヴェ氏

AIによる作業の機械化などはシャンパン製造に関係するのかしら?「うちは、手で葡萄を摘みますが、もうすでに葡萄の収穫を機械が行うつくり手もいます。その方がコストも安くできるし大量に作れるけれど、機械で収穫すると良い葡萄も悪い葡萄も全てとってしまうのが難点。

AIがやれることって、プロセスのチェックとか、虫食いのチェックとか、そんなところ。やはり人の手と目で葡萄を選別しないと美味しいシャンパンはできないと信じています」「僕で6代目なんだけど、僕の3人の子供達はワイン造りに興味がないみたい。困ったね」と言って彼は肩をすくめました。

イヴ・ルーヴェのシャンパンリスト

イヴ・ルーヴェのシャンパンリスト。ワインほどの多様性はないがフレーバーがそれぞれ違う個性

イヴ・ルーヴェのシャンパンリスト

イヴ・ルーヴェのスタッフ

いにしえのイヴ・ルーヴェのスタッフのモノクロ写真がとても素敵

イヴ・ルーヴェのメインライン

イヴ・ルーヴェのメインライン。それぞれの風味には個性がある

2次発酵の過程

ここまではまだ葡萄ジュースの状態。ここで糖質を混ぜ2次発酵させる

ワインを発酵してる機械

坊やが戦っている相手はロボットでなくワインを発酵してる機械

働く少年

坊や一所懸命働いてます。 将来は美味しいシャンパンの作り手になってね!

ハーベスト(収穫)は
お祭りだ!

家族

フランスのワイン、シャンパンの作り手は家族経営が多い。 日本のそれにも通じるものがある

家族

太陽の下、みんなハッピー!

収穫後の風景

収穫後、葡萄の葉が色づく風景も美しい!

葡萄を潰す様子

家族総出で葡萄を潰す、潰す。楽しそう!

「シャンパン」と「スパークリングワイン」はどこが違うのでしょうか。

まずはシャンパーニュ地方で作られたものしか「シャンパン」と呼ばれないということ、そして「シャンパン方式」といわれる独特な2次発酵方法を用いていること。昔から決められている細かい作業は手間暇がかかるので、やはりお値段もそれなりになってしまうけれどその代わりあのクリーミーな泡を味わえるのです。イヴ・ルーヴェの工場ではまず葡萄を潰して種と皮を除いたジュースを発酵させ、瓶に入れ5週間後に底に溜まったオリをとり、リキュール(糖質)を加えて2次発酵させます。
 そしてコルクで栓をしてシールとラベルを貼って美しいボトルが出来上がるわけです。

フレデリック・ルーヴェ氏

中心地の小高い丘からランスの村をのぞむ

味の格付けは
あるのでしょうか。

シャンパンはリキュール(糖質)添加の量により辛口から甘口まで味が決まります。大まかに分けてExtra Bruit、Brut, Demi Sec と種類分けされ買うときの目安となるのです。Brut(ブリュット)とは日本語で「生」という意味で、リキュールを極力抑えてその味のみで勝負できるレベルの高いシャンパンということなのです。

ドザージュ作業

2次発酵の前に行われるドザージュ作業。 リキュール(糖質)を加え発酵させてシャンパンになっていく

葡萄の実を潰すための機械

これは、葡萄の実を潰すための機械。 ルヴェール氏の工場では他のメーカーのために葡萄を潰す作業のみ請け負うことも

葡萄の実を潰すための機械

コルクをはめたボトルにエチケット(ラベル)をプレスする機械

シャンパーニュ地方で作られたものしか「シャンパン」と呼ばない

同じ角度で差し込まれたボトル

同じ角度で差し込まれたボトルを1日に2回、45度ずつ回しながらゆっくり液体を混ぜ合わせること1ケ月

シャンパン

時間をかけて造られたシャンパンはこのように美しいボトルに入り完成

コルク

ボトルにはめられる前のコルクはこんな寸胴型なのだ

ランス全体の地図

ランス全体の地図。 数え切れない作り手が点在している

ラッピングされたボトル

コルクをはめてラッピングをした状態。あとは銀紙をボトルの形に沿わせるだけ

有名メゾンのほとんどは、訪問見学をサイトから予約可能

シャンパーニュ地方にはたくさんの作り手がシャンパン好きファンたちを受け入れます。例えば、有名なメゾンのほとんどは訪問見学をウェブサイトから予約できます。

毎年4月は試飲会があり、ランスの小さな村はにぎやかになります。パリからは日帰り旅もできるので、シャンパン好きな人はぜひ訪れていただきたい素敵な村です。

ヴーヴ・クリコ

言わずと知れたオレンジの看板は「ヴーヴ・クリコ」のメゾン

GR MuMM (ムム)のワイナリー

GR MuMM (ムム)のワイナリー。赤いリボンのラベルはおなじみ

貯蔵庫

カーブ(貯蔵庫)の見学。最長数キロにも及ぶトンネルのような貯蔵庫は夏でも涼しい

ムムのシャンパン

ムムのシャンパンは、F1レースでの表彰台でマグナムボトルを振り回してかけ合うシーンでお馴染み

ヴィンテージもののムム

ヴィンテージもののムムがたくさん展示されている

世界遺産にも登録されているノートルダム大聖堂のステンドグラスはシャガール!

フランス国内にはノートルダム寺院と呼ばれるゴシック様式の教会がたくさん点在していてその数は47にも及びます。パリの寺院は特に有名です。そのほとんどが13-15世紀に建てられています。

ここランスの大聖堂は、フランスの最初の王 クロヴィスがランスで洗礼を受けルイ一世が戴冠式を挙げました。シャルル7世を連れ戴冠式を挙げさせたジャンヌダルクはその後ルーアンで火炙りの刑にされました。ランスのノートルダム大聖堂の中にはそのジャンヌダルク像があります。

ランスの大聖堂

大聖堂
通路
ステンドグラス
ステンドグラス
ステンドグラス
ステンドグラス

素晴らしいステンドグラスは、フランス人画家のシャガールや著名アーティストが手がけたもの。シャンパン飲んだ後はぜひ訪れて!

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