取材&文/野口万紀子

株式会社 一ノ蔵
〒987-1393 宮城県大崎市松山千石字大欅14番地
TEL 0229-55-3322(代) FAX 0229-55-4513
https://ichinokura.co.jp

良質な地下水に恵まれる宮城県大崎市 一ノ蔵本社蔵。松山町駅を降りて車で10分弱のところに突如現れる巨大な酒蔵は、初めて酒蔵訪問をする人を圧倒する。生産量1万6000石、社員数190人以上(グループ会社含む)と、非常に大きな規模で事業展開している酒蔵だ。

一ノ蔵は昭和48年に県内の歴史ある4つの酒蔵浅見商店、勝来酒造、桜井酒造店、松本酒造店が企業合同して誕生した。父と慕われた初代社長松本善作は、息子たち4名へ創業にあたり「家族ぐるみで付き合い、喜びも悲しみも分かち合おう。力を合わせて手づくりの酒造りをして欲しい。」との願いを託しました。以来、人との繋がりと伝統を守ることをモットーに、高品質な酒造りは現在も頑なに引き継がれている。

帆立貝の達磨古酒の酒盗漬け

「すず音Wabi」
麹の香りが控えめで優しい甘味なので日本酒初心者にも飲みやすい

日本酒を作る際に使われる酒米は酒造好適米と呼ばれ、実際にはその土地のものを使っていない場合が多いが、一ノ蔵では地元農家と協力してほとんどの酒に宮城県産米を使用している。地元の契約農家の方々と共に松山町酒米研究会を発足して環境保全米も積極的に取り入れ、酒の特性に合わせて10種類以上の米を使い分けている。酒造りに欠かせない酒造用水は鉄分の少ない軟水を使用しており、蔵の敷地内にある2本の井戸から汲み上げている。

米と水以外に酒造りに欠かせないのが微生物。同じ環境で同じような工程を経ても、不思議と発酵は一定にはならず、酒造りで一番難しくもあり神秘的なところでもある。地域には仙台味噌の老舗「仙台味噌醤油(株)」も工場を構えており、醸造発酵をテーマに地域おこしも行っている。

すず音GALA

「すず音GALA」
半年間の瓶熟成で控えめな甘さと酸味がまるで辛口のシャンパンを彷彿させる

良質な地下水に恵まれる宮城県大崎市 一ノ蔵本社蔵。松山町駅を降りて車で10分弱のところに突如現れる巨大な酒蔵は、初めて酒蔵訪問をする人を圧倒する。生産量1万6000石、社員数190人以上(グループ会社含む)と、非常に大きな規模で事業展開している酒蔵だ。

一ノ蔵は昭和48年に県内の歴史ある4つの酒蔵浅見商店、勝来酒造、桜井酒造店、松本酒造店が企業合同して誕生した。父と慕われた初代社長松本善作は、息子たち4名へ創業にあたり「家族ぐるみで付き合い、喜びも悲しみも分かち合おう。力を合わせて手づくりの酒造りをして欲しい。」との願いを託しました。以来、人との繋がりと伝統を守ることをモットーに、高品質な酒造りは現在も頑なに引き継がれている。

鈴木 整社長

蔵人訪問の際、鈴木 整社長と

なんとも興味深いのは、「一ノ蔵微生物林間学校」として県内の小学生を対象に微生物の正しい知識と可能性を知ってもらう林間学校を平成6年から開催している点だ。お酒の仕込みが終わった夏場の蔵を1日開放解放して、体系的に自然や理科に興味を持ってもらえる場を作ろうというのだ。

林間学校では鈴木整社長が自ら「校長」となり、社員が先生として清酒酵母を使ったパン作りや顕微鏡を使った微生物の観察などを通して子ども子供たちと触れ合いながら楽しく微生物について教えているのだそう。卒業生の中にはすでに成人されて大人向けに開催している「一ノ蔵日本酒大学」(昭和58年開校)に入学されている方もいらっしゃるとのこと。新たな日本酒ファンが着実に増えている。

日本酒大学

知識を深めたい日本酒ファンに向けて開催されている日本酒大学

どこか昔ながらのイメージが強い日本酒だが、私が今まで?酒師としての活動の中で強く願ってきたことの一つに「日本酒を飲んだこともない人にも飲んでもらえるようになりたい」という思いがあった。日本酒業界はまだまだ古い体質を持っているところも多く、イベントコンセプトやブランディングにおいて、玄人向けのテーマに落ち着いているのが現状と感じている。

日本酒と接点の無かった人にも興味をもってもらえるようなコンテンツは非常に重要と言えるだろう。その中において一ノ蔵は、日本酒に縁遠かった人を上手に優しく手を引いてくれるような酒蔵だ。同じ日本酒でもこんなにも味の幅が広く、新たな日本酒の可能性を大きく広げている。一ノ蔵にこれからも注目していきたい。

蔵開放イベント

4月に行われる蔵開放イベントには全国から多くの人が集まる

 

麹室での作業

人間の感覚でしかわからない繊細な麹室での作業

蒸し米を取り出す様子

蒸し米を取り出すのは4人がかりでも大変な作業

もろみの仕込み作業

もろみの仕込み作業

もろみの管理の様子

もろみの管理の様子

発酵の様子

発酵の様子は非常に神秘的で繊細な工程

野口 万紀子
株式会社「 5TOKYO」 代表取締役
利き酒師 / プロデューサー
「日本の伝統とトレンドを人間の5感で繋ぐ」をテーマに日本酒と日本文化の新しい楽しみ方を提案している。

野口 万紀子

株式会社 5TOKYO
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野口万紀子の日本酒のいろは
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Circular Japan 編集部 【記事に関するお問い合わせ